学校のテストは満点じゃなきゃいやだ!
達成できなかった自分はダメだ!!
以前、このように自分にすごく厳しい生徒を受け持つ機会がありました。
担任になったのは、Aさんが高校2年生の時です。
Aさんは口数も少なく大人しいイメージでしたが、
完璧主義の傾向が強く、100点が取れないと
「100点が取れない自分なんてダメだ」と、自分を否定していました。
自分が一番いい状態、
つまり「完璧」であれば「周りから褒めてもらえる」し、
「自分も満足できる」という気持ちはよくわかります。
私自身も小学校6年生の頃に「一番じゃないと!」と強く思っていた時期がありました。
その時期は確かにテストの点数もよく満足していました。
でも、中学生になって自分よりもできる子もたくさんいたので、
そこで「一番にならなきゃ!」とは思えなかったんです。
ですので、その点ではAさんに対して「すごいな!」と思いました。
しかしすごく苦しそうだったので、
なんとかしてあげたいな、とも思っていました。
記事の内容
完璧主義だと気づいた瞬間
Aさんが完璧主義だと気づいたのは、英語のテストが返却された時です。
定期テストの点数が90点代と高く、クラスでも一番でした!
と伝えたのですが、返ってきたのが、この言葉だったんです。
学校のテストは満点じゃなきゃいやだ!
達成できなかった自分はダメだ!!
そう言いながらすごく悔しがっていました。
これだけの点数を取っていても自分を責めるのは、
本当に苦しかっただろうな、と感じました。
テスト前になると起こる不調
またAさんにはテスト前になると起こる不調があります。
それが、ストレスからくる体調不良です。
耳が聞こえなくなったり、過呼吸になったり、動けなくなったり。
Aさんから、家や学校でたびたびこういう症状に悩まされる事も聞きましたし、
テスト前になると体調不良で塾を休むこともしばしばでした。
Aさんに伝えていたこと
そこで、Aさんの話をとにかく聞くことにしました。
また、同時にこんなことも伝えていったんです。
と勉強面で計画性を持つように伝えました。
→ これによりテスト直前での無理が減り、体調不良も少し減りました。
さらに、
などなど、
これらをゆっくりゆっくり何度も伝えていったんです。
ゆっくり伝え続けた結果
すると半年ぐらいかけて徐々に、
体調を崩すことが減り、塾を休むことも少なくなりました。
さらに、趣味の話や家のことなど、コミュニケーションも増えてきたんです。
雰囲気もだんだん明るくなりました!
完璧主義が悪いわけではない
Aさんの場合、完璧主義によってAさんは確かに辛い思いをしました。
ただ、こういう場合「完璧主義が悪い!」としてしまうよりも、
「完璧主義のおかげでいいところもある」と、
まずは「完璧主義のいいところ」を認めてあげることが大切です。
Aさんの場合、完璧主義のおかげで勉強時間も確保できていましたし、
勉強も進めることができていました。
でも完璧主義によって「100点じゃないといけない!」と思い込んでしまっていて、
そのプレッシャーで体調を崩していたんです。
ですので、完璧主義を「否定」するのではなく「緩和」をすることによって、
Aさん自身の「完璧」のラインを少しずつ下げていきました。
Aさんのその後
今、Aさんは大学への進学も決まっています。
Aさん自身も人生を楽しめるようになったそうで、
本当に嬉しく思っています!
これから大学で「心理学の勉強をしたい」とも教えてくれました。
私は「どんな先生になりたいか?」と問われれば、
記憶に残る先生でありたいと思っています。
「楽しかったー!」でもいいですし
「一緒にめちゃくちゃ頑張った!」でも。
また「こういう話をしたなー。」でも構いません。
生徒の人生にいい思い出として関われたら嬉しいです。
私も塾の先生に勇気をもらったから
実は私も小学6年生のころ、学習塾の先生に何度も励ましてもらいました。
「生田ならきっと大丈夫!」私を信じていつもそう言ってくれてたんです。